パール工業株式会社(大阪市住之江区)と共同で開発した、新しい大気圧コロナ装置です。
大気圧下で電極に高電圧を印加して放電を発生させ、発生したプラズマをガス流で噴出させると、断続的なアーク状の放電プラズマを発生する事ができます。このプラズマ源を一般的に大気圧コロナと呼んでいます。
(注:プラズマ理工学におけるコロナ放電とは異なります)
大気圧コロナ装置は空気でプラズマを生成できるなどの長所を持つため、高分子材料等の親水性や接着性の改善に広く使用されています。
しかし、全ての材料の接着性を向上できるわけではなく、下のHDPEのように全く効果の得られないものもありました。
そこで当社では、パール工業株式会社と協力して、強力な接着性の向上を実現できる、マルチガスコロナ装置を開発しました。マルチガスコロナでは、従来装置では不可能だったものの接着や、従来よりも高速な処理を実現します。また、マルチガス化は殺菌やコーティングにも極めて有効になります。
応用例:エポキシによる高密度ポリエチレンの接着
様々な容器やパイプ等に広く使用されている高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene, HDPE)の接着性を向上したいという要求があります。従来は火焔や薬剤を用いて接着を行っていましたが、熱、安全性、コスト、廃液などの問題がありました。
従来市販されている大気圧コロナや空気プラズマジェットを適用すると、ポリエチレン表面の親水性は得られたものの、次の写真のように接着性の向上は全く得られませんでした。
しかし、マルチガスコロナを適用した結果、短時間の照射で下の写真のように完全な接着を実現する事ができました。(接着したものを強制的に剥がした写真です)