大気圧プラズマは、真空容器を必要とせずバッチ処理が不要なことから、装置の簡便性や処理のスループットの面から減圧プラズマよりも優れていると言えます。
一方で、三次元形状の処理対象物に満遍なくプラズマ照射することは、あまり得意ではなく、減圧プラズマのほうが適している場合があります。
かつてのプラズマ応用がすべて「減圧プラズマ」を用いたものであるように、減圧プラズマの発生自体はさほど難しくなく、目新しい技術ではありません。
しかし、いざ減圧プラズマを生成しようとすると、大掛かりな真空チャンバーと高性能な真空ポンプが必要になるため、実験室レベルの簡単なシステムを組むことはいささか困難でした。
当社では、大気圧プラズマを発生させるためのノウハウを、減圧プラズマにフィードバックさせることで、真空容器の形状に制約が少なく、かつ、マルチガスの減圧プラズを簡単に生成できるシステムの開発に成功しました。下の写真は、あるガラス容器に減圧マルチガスプラズマを生成させた一例になります。鋼鉄製の真空チャンバーを用いなくとも、安定した均一性の高い減圧プラズマを得ることができます。
減圧プラズマによる処理は、バッチ処理になってしまいますし、大気圧プラズマよりも処理時間がかかってしまいますが、三次元の均一処理を実現しやすいので、新素材のプラズマ暴露試験、多孔質や粉体の処理、分析前処理としての灰化処理などに適しています。
また、大気や水蒸気の混入が理論的に無いため、背景ガスの影響を受けやすい還元や窒化反応などへのプラズマ応用が期待できます。